不受理申出とは?
離婚は夫婦が合意しなければ成立しませんが、離婚について話し合いをしている途中で、夫婦の一方が勝手に離婚届を役所へ提出してしまうことがあります。
お相手が一方的に離婚届を出してしまった場合はどうなるのでしょうか?そのような不正な行為を防止するため離婚届不受理申出という制度があります。
もしものための離婚届不受理申出
勝手に出された離婚届であっても、法律に反しておらず書類上の不備がなければ受理されます。つまり、偽の離婚届でも受理されます。
役場では、離婚届の署名が本当に本人のものなのか、夫婦双方が了承しての提出なのかは確認のしようがありません。
役場は、離婚届を形式的にチェックすることしかできず、夫婦に本当に離婚する意思があるか、婚姻届が偽造されたかについてまでチェックしないのです。
離婚届には夫婦が署名・捺印などの記載事項を記入する必要があるのですが、それらが漏れなく正確に記入してあれば受理されて離婚が成立します。
対策は不受理申出が確実な対策
一方的に離婚届を提出され、不本意な離婚を強いられることにならないようにするため、協議の最中は対策をとっておくことができます。
対策として最も確実なものは、あらかじめ不受理申出の手続きをしておくことです。
不受理申出書は、自分の住んでいる自治体の役場で入手できますが、役場のサイトからもダウンロードして入手可能です。
こちらの有効期限は無期限なので、一度手続きをしておけば、相手が勝手に離婚届を出しても受理されることはありません。知らないうちに離婚届を出されても受理されるのを回避できます。
なお、現在の制度では、不受理申出取下書の提出は不要になり、相手を特定した不受理申出なら、申し出た本人が離婚届を提出するだけで、不受理申出の効力が終了します。
※法改正により平成20 年5月1日以降は申出期間の制限はなくなり、取り下げがあるまで期限の制限なく有効と取り扱われるようになりました。
不受理申出の手続きを行う前に離婚届が受理された場合の対処法
万が一、離婚届不受理申出の手続きを行う前に、離婚届が受理されてしまった場合は、「離婚無効調停」または「離婚無効訴訟」を起こすことで戸籍上の離婚を婚姻中に訂正できます。
離婚無効調停
離婚無効調停とは、調停員が間に入り、客観的に見て離婚の無効が正しい判断か審判してくれるものです。
家庭裁判所に申立手続きを行うことでできます。ただし、最終的には相手方の同意がなければ離婚無効が成立することはありません。
離婚が無効と認められると、戸籍の離婚が訂正され婚姻関係は復活となります。
離婚無効訴訟
離婚無効訴訟とは、調停で配偶者の合意が得られなかった場合、裁判へと発展します。
裁判官の判断により離婚無効となれば、相手の合意が得られなくても戸籍を訂正することができます。