協議離婚の手続きと公正証書
協議離婚の手続き
離婚はその手続きの過程によって協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚・和解離婚の5種類に分けられます。離婚全体の約9割を占めるのが協議離婚です。
協議離婚に必要なものは、基本的には夫婦双方の離婚の合意と離婚届だけです。役場で離婚届が受理された時点で、離婚が成立します。
審判離婚や裁判離婚とは違い「離婚する際に必要な法的な理由」などは関係なく、夫婦が離婚について同意し、離婚届を出せばそれで離婚は成立します。
しかし、協議離婚の手続きそのものは簡単ですが、離婚には子供の問題やお金の問題などが伴ってきます。
協議する内容と注意点
一見とても簡単そうに見えますが、協議する内容や注意点が多いので、簡単にご説明いたします。
協議する内容
- 離婚そのものについて合意できるか
- 夫婦のどちらが子供の親権者になるか
- 子どもとの面会交流の頻度や方法はどうするか
- 養育費の金額と支払い方法はどうするか
- 財産分野の双方の割合、分野の方法はどうするか
- 慰謝料は支払うか、支払う場合はその金額と支払い方法をどうするか
- 年金の合意分割を行うか、行う場合は分割の割合をどうするか
協議の注意点
- 財産分与、慰謝料などのお金の支払い方法や、子どもの親権は離婚前に取り決めて文書(離婚協議書)などに残す。公正証書が最も安心
- 話し合いは冷静に。話がこじれそうなら弁護士に依頼することも検討
- 法律的な問題や慰謝料などの妥当な金額は、弁護士に相談してみる
公正証書作成のポイント
協議離婚書は離婚条件が守られなかった際に証拠として裁判を起こすことができます。
また、必須ではありませんが離婚協議書を公正証書にすることで、より信憑性の高い証拠にすることができます。
公正証書は、知識と経験の両面で法律に詳しい公証人に作成してもらう文書で、「支払いが滞った場合は強制執行できる」といった文言を入れるのがポイントとなります。
公正証書は、公文書として、証明力、証拠力を備えた証書となりますので、公正証書の契約に関して裁判になったときには証拠として採用されます。
また、公正証書は20年間は公証役場において原本が保管されることから、公正証書の作成を依頼した者が公正証書の正本や謄本を万一紛失してしまったとしても、公証役場で再度交付を受けることができます。
強制執行することが認められるといった点で、公正証書は裁判の確定判決や同等の効力を持つので、支払いがない場合、裁判なしで相手の給料・預金・不動産などを差し押さえることができます。
離婚協議書と離婚公正証書の違い
離婚協議書と離婚公正証書は両方とも、離婚時または離婚後にどのような金銭を支払ったり受け取ったりするのか、親権を夫婦のどちらが持つのか等の、離婚した夫婦が離婚後に守るべき事項を記載した「契約書」であるということについては違いがありません。大きな違いは効力にあります。
離婚協議書とは、離婚時に夫婦で話し合った取り決めを、離婚後に言った言わないの水かけ論防止のため、書面に残し、お互いにその取り決め(契約)を夫婦双方がお互いに守り、守らせる書面になります。こちらは、夫婦のみで作成することができる私文書となります。
一方で、公正証書は公文書となり、国や地方公共団体の機関または公務員が、その職務上作成する文書のことで、その証明力と効力は非常に強いものです。効力については、「公正証書作成のポイント」にある通りです。
公正証書作成には、離婚協議書に比べ費用と時間がかかりますが安心感があります。可能であれば、公正証書で記録として残しておくことをお勧めします。
協議で話し合いがまとまらなかったら
夫婦間同士の協議で離婚の同意が得られなかった場合には、「調停離婚」「審判離婚」「和解離婚」「裁判離婚」の4つの選択肢があります。
詳しくはこちらをご参考ください。