調停の申し立てと流れ
離婚が成立するまでの プロセスは、あくまでも夫婦間の話し合いが基本となっています。
実際のところ、離婚全体の約9割が夫婦での話し合いによる離婚いわゆる協議離婚という形態となっています。
ここではで夫婦間の話し合いが行き詰まった場合の対処方法として、調停の進め方についてご説明いたします。
調停の基本は話し合いを進めること
離婚についての様々な取り決めは、あくまでも夫婦の話し合いが原則です。
しかし、夫婦二人の話し合いだけでは、離婚自体もしくは親権者・養育費・財産分与・慰謝料などの条件面での合意ができず、なかなか離婚が成立しない場合があります。
このような場合や、そもそも相手が話し合いに応じない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てます。
調停の申し立てが受理されると、第1回目の調停期日は裁判所によって指定され、双方に調停期日呼出状が送られます。
もし、どうしても指定された日時に都合がつかない場合には、期日変更申請書を提出します。
2回目以降の調停期日は、調停の席上で双方及び調停委員のスケジュールを照合し、調整した上で決定します。
調停では、夫婦が持ち寄ったそれぞれの言い分をもとに、男女各1名ずつの調停委員が間に入り、双方が納得できるような合意点を探っていきます。
調停の基本はあくまでも話し合いを進めることですが、夫婦が直接話し合うわけではなく、調停委員を通じてやり取りを進めます。
また、調停が進行する中で、離婚に対する夫婦の考えが変化した場合は取り下げることもできます。このとき、相手の同意や取り下げる理由は必要ありません。
調停での話し合いはどう進められるか
第1回調停期日では、先に申立人が調停室に入ります。この間、相手方は相手方控え室で待機しています。
申立人は、調停を申し立てるに至った経緯、夫婦の現在の状況、子供の問題などについて、調停委員から質問されます。
所要時間はケースバイケースですが、大体30分が目安となります。
次に、申立人と交代して、相手方が調停室に入ります。 申立人は申立人控室で、調停委員が呼びに来るまで待機しています。
調停委員が申立人の話した夫婦の状況について、相手方に確認をします。それから相手方の言い分や離婚の意思について、話を聞きます。
調停委員は夫婦の状況を把握した後、解決策を提示します。この調停での話し合いは、1ヶ月に1度くらいの頻度で数回に渡って行われます。
この時点で、双方が離婚とその条件について合意をすれば調停離婚が成立します。
数回の話し合いを経たにも関わらず、どうしても合意に至らない場合は、調停は不成立となり、終了します。
調停は、弁護士や代理人をつけたとしても、原則として本人が出席しなければなりません。相手が離婚に応じないケースでは、相手が出頭しない事態も考えられます。
この場合、家庭裁判所の調査官が次事情を調べて出頭を促します。それでも出頭しない場合は、調停は不成立となります。
調停の利点とは
調停には以下のようなメリットがあります。
- 第三者が間に入り解決策を提示してくれる
- 配偶者と顔を合わさず話し合いができる(ただし裁判所によっては調停開始時と調停終了時に配偶者と同席しなければならない場合もある)
- 難しい手続きがないので弁護士に依頼しなくても自分の力でできる
- 裁判と違い当事者以外の者から一方的に判決を下されない
- 法定離婚事由を必要としない
- 調停で離婚が成立したとき作成される「調停調書」には強制力がある
- 公正証書作成より調停費用の方が安いが、同じ強制執行力がある
夫婦間で離婚の話し合いに行き詰っているのであれば、調停を検討するのも良さそうです。