内容証明郵便とは?
内容証明郵便は請求の証拠
内容証明郵便とは、「いつ」「誰が」「誰に宛てて」「どのような内容の手紙を出したか」を郵便局が証明してくれるものです。
相手が離婚の話し合いに応じない、養育費などの約束を守らないといった場合、真剣な申し入れであることを示したいとき、内容証明郵便による請求が有効です。
法的強制力はありませんが、発送した証拠として残すことができます。
内容証明郵便の主な効力
- 解除などの法律上の手続きが正しく行われたことを後日証明できるようにする。
- 請求に応じない相手に心理的圧迫を加え支払いを得る。
- 自社の意向が固いことを明確に示す。
- 後日の裁判に備えて、自社の主張が裁判前から一貫していることを証拠として残す。
なお、電子内容証明郵便という制度もあります。あらかじめ登録をして、所定の書式を満たした文書を所定の電子システムから送ることで、郵便局に行かずに発送できます。
ご利用の条件・作成方法・料金の詳細は「日本郵便の公式サイト」をご参照ください。
不倫慰謝料請求の内容証明郵便の書き方のポイント
①不貞の事実を端的に指摘する記載をすること
不貞相手に対しては、相当な怒りがあるとは思いますが、内容証明郵便に、感情的に恨み言を書き連ねても効果はありません。
内容証明郵便には、不貞の「事実」を記載して突きつけます。
そうすると、放っておくと訴訟提起されて、不利になるから、何とか話し合いで済ませたいと考えるので、連絡してくる確率が高くなります。
手持ちの証拠をすべて開示する必要はありませんが、証拠をすでに持っているということを示さなければ、相手への心理的プレッシャーは弱くなります
②別居や離婚の事実を記載すること
配偶者の不貞が原因で、別居したとか、離婚の話し合いが始まっているというような場合には、その旨も記載しましょう。
なぜなら、不貞が原因で離婚に至ったか、離婚にまで至らずに夫婦がやり直すことになったかによって、慰謝料の金額は違ってくるため、離婚に至りそうな状況である場合には、これを記載しておいた方がよいからです。
③相手を不当に貶めるような記載はしないこと
相手に対する怒りがあっても、相手を不当に貶めるような表現をしてはいけません。場合によっては、名誉棄損等に該当する可能性もあります。
④相手を不当に脅すような記載はしないこと
不貞をされた人は、配偶者の不貞相手に対して、慰謝料を請求する権利があります。
そこで、慰謝料を請求し、払わなければ法的手続きを取ることを予告することは、一般的には問題ありません。
しかし、相手に不利益を与えることを予告するような内容の記載や、相手やその家族に危害を加えることを匂わせるような記載をすると、恐喝罪や脅迫罪等になる可能性があります。
⑤法的手続を行う意思があることを示すこと
内容証明郵便が効果を発揮するのは、無視したら、訴訟提起されるかもしれないと相手に思わせるからです。
そのため、「本書到達から10日以内にお支払いがなく、また、なんらのご連絡もいただけないときは、遺憾ではありますが、法的手続きを取らせていただきます」という文言を入れる必要があります。
内容証明郵便が送達されなかった場合
文書は、相手に届かなければ効力が生じません。相手に届かない場合にもいくつかのケースが考えられますので、各々のケースの対応について、説明させて頂きます。
受取人が留守であった場合
内容証明郵便は、相手に直接渡して、受領印を押してもらって受領完了となります。
本人しか受け取れないわけではないので、家族や従業員が受領印を押した場合でも配達されたこととなります。
しかし、家族や従業員も含めて、誰にも渡せなかった場合には、郵便局に内容証明郵便を持ち帰ることとなります。
通常は、何度か再配達してもらえますが、それでも渡せなかった場合は、「不在通知」をポストに入れることになります。
受取人が不在通知を見て郵便局に受け取りに行くか、配達希望日を指定して再配達してもらえば良いのですが、原則7日間の保管期間を過ぎても受け取らない場合には、「受取人が不在でした」等の付箋が貼り付けられて、差出人に返還されてしまいます。
この様な形で差出人に返還された場合は、内容証明郵便は受取人に届いたことにはなりませんので、注意して下さい。
受取人が受取りを拒否した場合
郵便局員が配達したものの、本人・家族・従業員の誰かが居たにも拘わらず、受け取りを拒否する場合があります。
内容証明郵便は、受け取りが強制されていませんので、受け取りを拒否しても違法ではありません。
受取人が受け取りを拒否すると、「受け取りを拒否されました」という付箋が貼り付けられて、差出人に返還されます。
しかし、この場合には受け取りを拒否されても内容証明郵便は受取人に届いたものとして扱われ、通知の効果が生じることになります。
受取人が宛先にいない場合
差出人が知らない間に引っ越したり、債権者の取り立てを免れるために住民票を移さずに夜逃げしたりして、差出人が記載した住所に受取人が居ないことがあります。
この場合も、内容証明郵便は「宛先人不明」として差出人に返還され、通知の効果は生じません。
差出人が調査して、新住所が分かれば、再び発送することになりますが、調査しても分からない場合には、そのままでは通知が出せなくなりますので、「公示送達」という手続を取ることになります。
これは、裁判所に調査報告書を添えて申立を行い、裁判所の掲示板に掲示するというもので、掲示を始めた日から2週間を経過したときに受取人に到達したという効果が生じます。