離婚・不倫に係る民法

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慰謝料や養育費が未払いになった場合の対処法

約束の慰謝料や養育費が支払われない場合の対処法

慰謝料や養育費を支払いと決めたのに元配偶者が支払わない。電話やメールなどで支払いを催促しても応じてもらえない場合、どうすればいいのでしょうか。実は離婚後に養育費が支払われなくなるケースはよくある話です。

対処法については、支払いを取り決めた方法によって以下のような選択肢があります。

  1. 内容証明郵便
  2. 履行勧告
  3. 履行命令
  4. 強制執行
  5. 支払督促

 

1.内容証明郵便

内容証明郵便とは、簡単にいえば「いつ(郵便発送の日付)」、「誰が」、「誰に」、「どのような内容の手紙を送ったか」ということを郵便局が証明してくれる手紙です。

法的な効力は一般の手紙と変わりません

しかし、書留郵便で配達され、文末には「郵便局長が内容証明郵便として差し出されたものであることを証明する」記載が入っている点が大きく異なります。

受け取った元配偶者に、心理的プレッシャーを与え、支払いを促す一定の効果が期待できます。

内容証明郵便は、自分で作成・発送することができます。不安であれば弁護士を代理人とすることも可能です。

 

2.履行勧告

履行勧告とは、家庭裁判所の調査員が電話や手紙、訪問で支払いを促すものです。

家庭裁判所に申し出ることにより求めることができ、費用はかかりません。

家庭裁判所に履行勧告を申し出ると、家庭裁判所調査官が養育費や慰謝料の支払い状況等について調査をします。

元配偶者に対して、支払い義務を果たすように電話や手紙、訪問などの方法で勧告をします。履行勧告はあくまで自発的に支払いを促すものです。元配偶者にプレッシャーをかける効果はありますが、残念ながら法的な強制力はありません

3.履行命令

離婚命令は、履行勧告に元配偶者が応じない場合は「履行命令」を申し立てることになります。

裁判所が期限を決めて「このときまでに支払いなさい」と命じるものです。履行命令でも強制的に支払わせることまではできません。

しかし、元配偶者が履行命令に従わない場合には、10万円以下のペナルティが課せられます

間接的に養育費や慰謝料の支払いを強制する効果がありますが、法的な強制力には至りません。

4.強制執行

強制執行とは、元配偶者の預貯金や給料、不動産などを差し押さえて、そこから強制的に未払い分を支払わせる方法です。

履行勧告や履行命令をしても元配偶者が応じない場合、さらに強力な措置として「強制執行」を行うことになります。

強制執行をかけるためには、判決書調停調書など、強制執行によって実現する権利の存在やその範囲などを示した公の文書(債務名義)が必要になることが原則です。

ただし、夫婦間の話し合いで決めた内容でも、その内容が公正証書にまとめられていて、かつ、任意に支払わない場合には強制執行することを認める文言(強制執行認諾文言)が書かれている場合には、強制執行にかけることができます。

公正証書は、可能であれば、強制執行も視野に入れて作成する方が良いです。

強制執行をかけたいと考えたら

元配偶者に給料や財産がなければ、差し押さえる財産がないので強制執行をすることはできません。

強制執行をするときは、まず自分で元配偶者の給料や財産を特定し、その上で給料や財産の差し押さえを裁判所に求めることになります。「申立てをすれば、裁判所が元配偶者の給料や財産を調べてくれる」というわけではないので注意が必要です。

強制執行の手段を利用したいと考えたら、元配偶者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てましょう。

差し押さえることができる限度

強制執行では、元配偶者の給与を差し押さえることができますが、給与全額を差し押さえることはできません。

原則として、給料から税金などを控除した額(手取り)の4分の1までというルールがあります。

また、養育費の場合は、原則として、給料から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1までを差し押さえることができます。

養育費等の扶養義務に基づく債権については、差押えは過去に支払われなかった分だけでなく、将来の支払いにまで適用されます。

以上は原則のため、差し押えの金額は元配偶者の手取りなどによって変わってきます。

5.支払い督促

支払督促とは、支払いに応じない元配偶者に対して、裁判所から督促状(請求書)を出してもらう制度です。

履行勧告・履行命令・強制執行が行えるのは、原則として調停や審判で養育費や慰謝料について決めた場合です。

調停や裁判をしていなくても、夫婦の話し合いで慰謝料や養育費の条件を決めている場合は、裁判所の「支払督促」という制度を利用することができます。

支払督促は書類審査のみなので、わざわざ裁判所に足を運ぶ必要がありません。

手数料は裁判をする場合の半額です。

申立て方・その後の流れ

支払督促は、元配偶者の居住地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対して申立てを行います。

申立ての際には、「支払督促申立書」という書類を提出します。申立書では、元配偶者との間で慰謝料や養育費の支払いがどのような経緯で決まり、どのくらい請求できるのか、といった申立ての経緯を説明します。

裁判所の審査を経て申立てが認められると、元配偶者に対して支払督促が送られます。

元配偶者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立てをしなければ、「仮執行宣言」の申立てをすることができ、裁判所が支払督促に仮執行宣言を付した場合には、これに基づいて強制執行の申立てを行うことができます。

ただし、異議申立てがされると、手続きは通常の裁判に移ります。

養育費を請求する権利は「5年」で消滅する

養育費の金額を定めた場合、養育費を請求できる権利は、一定の期間が経過すると時効により消滅します。

原則として5年で消滅すると考えられています。

月ごとの支払いを定めている場合が多いと考えられますが、その場合、5年が経過した時点で、その月分の養育費を請求する権利が消えてしまうということです。

時効の進行を止めるには、元配偶者に対して裁判を起こすことや、話し合って養育費を支払ってもらう権利があることを元配偶者に認めてもらう必要があります。

元配偶者の居場所や職場が分からない場合

元配偶者の居住地や職場が分からない場合も当然あると思います。

その場合には、弁護士や探偵が探すことになりますので、探偵が必要なら当探偵社「シークレットジャパン東北本部」にご相談ください。独自のネットワークでお探しいたします。

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