離婚後の戸籍と姓
離婚をすると、これまで生活を共にしてきた夫婦は別々に住み、独立した所帯で生活を営むのが一般的です。
離婚とは、単に生活を分けることではありません。離婚をするとは、結婚の際に一緒にいた夫婦の戸籍を別々に分けることになります。
つまり、法律上の離婚の成立とは「戸籍上、夫と妻がそれぞれ別の籍になること」を指します。
離婚後の戸籍には2つの選択肢
離婚をすると、夫婦の戸籍は別々のものになります。その際、筆頭者(もともとその姓を名乗っていた側)はそのままの戸籍です。
しかし、筆頭者ではない配偶者は、離婚時に戸籍から抜けることになります。結婚時の戸籍から抜いた自分の籍をどうするか考えなければなりません。
戸籍から抜ける配偶者は、離婚後の戸籍について、以下の2つから選ぶことになります。
①結婚前の戸籍に戻る
②新たに戸籍をつくる
離婚に際し戸籍を抜く側は、先ずこの2つから1つを選択しなければなりません。
①を選択した場合、結婚前に属していた親の戸籍に戻ることになり、離婚後の本籍地は親と同じものになります。
離婚届で戸籍を変更できる
原則、戸籍から抜ける側は離婚後、旧姓を名乗るという前提があるため、離婚届には「婚前前の氏にもどる者の本籍」という欄があります。
戸籍変更の手続きは、その欄に記載されている「もとの戸籍にもどる」、あるいは「新しい戸籍をつくる」という選択項目のいずれかを選択します。離婚後の本籍地と氏名を記入すれば、自動的に戸籍が変更されます。
ただし、すでに両親が死亡している場合には、結婚前の戸籍には戻れず、新しい戸籍をつくる必要があります。またその際、新しい戸籍をつくるときは、本籍地は現住所でなくても構いません。
新しい戸籍は旧姓か結婚時の姓か選べる
結婚前の戸籍に戻った場合は、姓も旧姓に戻ることになります。
しかし、新しい戸籍をつくる場合には、旧姓を名乗るか、結婚時の姓をそのまま名乗るか選ぶことが可能です。
原則としては、籍を抜いた側の離婚後の姓は、旧姓に戻ることになっています。
(離婚による復氏等)
- 第767条
- 婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
- 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
引用:Wikibooks
また、本籍については、どこに定めるのも本人の自由です。
ただ、離婚後も諸手続きにおいて戸籍謄本・抄本が必要になることが多いことを考えると、申請がしやすい場所に設けることをお勧めします。
旧姓を名乗るなら、離婚届だけで特に手続きは要りませんが、結婚時の姓をそのまま名乗りたいというときは、「離婚の際に称していた氏を称する届」を住居地または本籍地の役場に提出する必要があります。(離婚の日から3カ月以内)
以上のように、離婚後の姓の選択は本人の自由(原則は旧姓に戻ること)となっていますが、子どもの姓についても視野に入れつつ、主体的に選び取る姿勢が必要となります。