夫婦円満調整の調停
かつては人生を共にしようと思った相手との別離。いろいろ考えた末で踏切落としたものの、いざ離婚を切り出した後で気持ちが揺れることもある。また、「借金癖さえなければ」「不倫相手と別れてくれれば」と期待が捨てられない、さらに「悪い所は改めるからやり直したい」などの思いがある場合、夫婦関係について相談する方法はあるだろうか。
冷静に話し合う場を見つける
夫婦とはいっても元は他人ですから、多少のトラブルはどこにでもあるでしょう。 しかし、離婚を考えるまでこじれてしまった関係なら、もはやお互いの気持ちだけでは解決の糸口が見つからないことも多いのが現実です。
夫婦間に深刻なトラブルが起こると、毎日顔を合わせるだけに、冷静に話し合うことが難しいものです。意地の張り合いになることもあるでしょうが、まずは向き合って話し合う努力が必要です。
離婚を回避したい気持ちが少しでも残っているなら、冷静に話し合う場を見つけることが大切です。冷静に話し合うには、第三者の立会いが有効です。夫婦共に信頼できる仲人さんや 共通の知人に仲介を頼んでみるのも、一つの方法です。
適当な知人がいなかったり、身近な他人に知られるのが嫌だったりする場合は、カウンセリングを受けるのも良いかもしれません。法律や心理学の専門家などによるカウンセリングもありますから、このようなところに相談してみても良いでしょう。
また、家庭裁判所に、夫婦関係を改善し離婚を回避することを目的とした夫婦関係円満調整の調停を申し立てる方法もあります。
夫婦関係円満調整の調停とは?
家庭裁判所は、離婚の調停を行うところというイメージがあります。しかし、夫婦関係が円満でなくなった場合には、元の円満な夫婦関係を回復するための話し合いをする場としても、家庭裁判所の調停手続きを利用することができます。
調停には、家事審判官(裁判官)1人と、民間の良識のある人から選ばれた調停委員2人で構成される調停委員会が立ち会います。
調停委員が双方の事情をそれぞれに聞いて、夫婦関係が円満でなくなった原因はどこにあるのか、問題の解決のために必要な助言をしたりという形で進められます。お互いが顔を合わさずに済むように、待合室も別になっています。
ただし裁判所によっては、調停の開始時と終了時には同席させて、調停の進行状況等について確認し合う場合もあります。
いきなり「家庭裁判所の調停」と聞くと相手も身構えてしまいます。夫婦の問題を解決して夫婦関係を円満にしたいというあなたの気持ちを、あらかじめ相手にしっかり伝えておきましょう。
調停が進んだら
調停では、お互いの気持ちを個別に聞いてもらいながら、夫婦関係を修復するためのアドバイスを受けたり、相手に望むことをそれぞれに提示したりします。調停の結果を待つまでもなく夫婦が円満な関係に戻れたら、調停はいつでも取り下げることができます。
調停で合意がされた内容は調停調書という書面に記されますが、調停調書に強制力はありません。
調停後、いったん関係が修復しても、その後調停調書の内容が守られないこともあります。そのために改めて離婚調停の申し立てをすることになった時は、「相手が調停調書に記された約束を守らなかった」という事実が控除の対象となるでしょう。
途中で調停がうまくいかないことが明確になり、あなたにも離婚の意思がはっきり固まった場合には、円満調停を離婚調停に切り替えて、調停手続きを進めていく中で合意に達すれば、調停離婚が成立します。
また、あなたがまだ離婚するかどうか結論を出していないのに、相手が離婚届を提出してしまう可能性もあります。
心配な場合には、役所に離婚届不受理申出書を出しておきましょう。離婚前に、財産分与を避ける目的で勝手に処分されそうな財産がある場合は、財産保全措置のための手続きを取ることも考慮してみましょう。